工学系大学卒業者は皆エンジニアか ?
どうも,こんにちは塚本です.
久しぶりの投稿になってしまいました.
突然ですが,皆さんはTwitterで
#駆け出しエンジニアと繋がりたい というハッシュタグを見かけたことはないでしょうか?
また,最近では新型コロナウイルスの影響も相まってなのか,
IT未経験者に対しての,「○ヶ月でフリーランスのエンジニアへ!」とか「年収1000万!」とか宣伝しているツイートも見かけることも多かったです.
確かに,自宅での自粛生活を有意義に過ごすためにも
オンラインで学習できるプログラミングスクール等の活用は必然的だったのかもしれません.
エンジニアという言葉が非常にいろんなところで使われていると思います.
っていうか、そもそも なぜWebエンジニア=エンジニアみたいになっているんだ….?
工学ってWeb以外にもたくさんありますよね?
エンジニア…エンジニア?
エンジニアとは
Wikipediaで,技術者と検索すると以下の説明がなされています.
技術者(ぎじゅつしゃ)とは,工学に関する専門的な才能や技術を持った実践者のことである.なお日本においては,名称独占資格である「技術士」および「技能士」と違って,名称独占資格ではなく明確な定義のない呼称でもある.実際的には,スキルを持つものの呼び名として工学以外の分野も含め広く用いられている[1].
技術者に対応する英語として,または同じ意味合いの外来語として,エンジニア (engineer) の呼称も用いられる[1][2].ただし,一般的な語の対応としては,「工学」が「エンジニアリング」で「技術」が「テクノロジ」であるため,どう対応あるいは同じなのかは微妙である.日本語版ウィキペディアでは工学者の記事を,工学分野の研究者の記事としている.
また,日本以外の国においては「エンジニア」の称号には工学士の学位が必要とされるなど明確な制限がある場合が多く,日本語での「技術者」「エンジニア」は,こうした国においては別の職種とみなされる「テクニシャン」(技能者)に相当することも多いため注意が必要である[1][3].
注目すべき点としては,エンジニアと技術者の対応付けです.
また,日本以外の国においては,技術者の区別としてエンジニア
, テクノロジスト
, テクニシャン
という3つに分類されています.
エンジニアになるには
そもそも論として,エンジニアを名乗るためには資格が必要なようです.
国際エンジニアリング連合の協定に明記されています.
この辺りについては,榊原昌彦さんの書かれたnote
あなたは本当にエンジニアですか?海外で「私はWebエンジニアです」と名乗ると「経済学部卒なのに?」と聞かれた理由.をお読みください.
技術者の区別として,3つの分類があると書きましたがそれぞれの定義としては以下になります.
- エンジニア :知識の応用と構想力を中核能力とする
- テクノロジスト:エンジニアとテクニシャンの中間的性格をもつ
- テクニシャン :技能を中核能力とする
また,JABEE2代目会長 大橋 秀雄さんが書かれた 日本にエンジニアは何人いますか? でも言及されている通りに
- エンジニア :工学系の学士課程以上
- テクノロジスト:工業高等専門学校以上
- テクニシャン :技能訓練学校以上
それぞれの職種において,基礎教育期間を定めています.
じゃあ工学系大卒は皆エンジニアか?
ブログタイトルの通りです.
どうなんでしょうか?
面白い議題だと思います.
こちらに関しては,
1980年4月 日本工業教育協会誌 第28巻 第2号,
中村元和教授の論説 工学系大学卒業者は皆エンジニアか?が面白かったです.
近頃の若者は…
まず第一章から,
「近頃の学生は出来が悪い」という文句を周りでよく聞く.と書かれています.
1980年というと,実に41年前だと思います.
昔も今も,なんかあまり変わってなくて面白いですね(笑)
教育制度と学力
また,第二章の冒頭を抜粋すると,
2. 教 育 制 度 と学 力
教育方針として, 大学は理論的に工学を教え,工業高等専門学校(以下,高専と略称する)は現場に関係が深い実践的な教育を行うことになっている.言葉の厳密な検討は一応別にして,一般に大学卒業者は,エンジニア,高専および工学系短期大学 (以下,工学系短大と略称する)卒業者は,テクノロジストと呼ばれている.
理論ベースの教育→エンジニア
実験ベースの教育→テクノロジスト
たしかに客観的にみても,納得できる内容だと思います.
だいぶ省略して結論
タイトルに対する結論としては,「そうではない」になりますかね.
第六章のむすびを抜粋すると,
現在の工学系の高等教育は制度上,大学,短大および高専とはっきり区別できるが,その制度の下で教育された学生の学力を比較すると,種々の段階の者があり,中には三者の間に差のない者もあるのが現状だろう.一般に用いられている言葉に技術者,エンジニア,技能者,テクノロジスト,等の区別があるが,エンジニアとかテクノロジストの言葉は,その名に応じた実力を身につけた者を指している.これと制度上の区別の結合,すなわち大学卒はエンジニア,高専および工学系短大卒はテクノロジストというような区別は全く無意味であろう.今後は能力が評価される時代に,移りつつあるから,上述の制度に結びついた区別はなくなると考えた方が良いだろう.
エンジニアの言葉は,その名に応じた実力を身につけた者を指している
→ 制度上との区別の結合は無意味
技術者の世界は,実力社会なんだから,こんな区別はなくなるでしょ!
と書かれていますが,たしかにテクノロジスト・テクニシャンという言葉が浸透していないので言葉の通りになっているとは思います.
これをどう受け止めるかは個人それぞれだと思います
まとめ
はじめて#駆け出しエンジニア
という単語を見たときの
なんとも言えないもやっとした違和感が解消された ような 気がします.